「虐待によって負った心の傷は回復しない」
——そんなことが世間では言われているようですが、決してそうではありません。簡単ではありませんが、少しずつ、楽になっていくことは可能です。虐待による心の傷がなぜ回復しないのか。実は、これにも理由があるのです。
精神科領域には、まだまだ改善しなければならないことや治療者が知らなければならないことがたくさんあります。とくに、カウンセリング(=精神心理療法)の盲点などです。対人支援というのは、ほとんどの場合で「普通の人」の視点を中心につくられています。それが、普通とはかけ離れた環境で生きてきた”虐待サバイバー”たちの回復を難しくさせている理由のひとつなのかもしれません。
こういったことをまとめた本書は、集英社主催の『第18回 開高健ノンフィクション賞』の最終候補作になりました。惜しくも受賞することはできませんでしたが、書籍として刊行されることになり、多くの方々にも読んでもらえるようになりました。
当事者の方々は「読むのがつらかった」「涙が止まらなかった」という感想を私に聞かせてくれました。
一方、実際の現場の支援者・医療者・学校の教員たちは、口を揃えて「寄り添うことと理解することは違うのだと知った」「もしかしたら気づいていないだけで、こういう人はたくさんいたのかもしれない」と私に話してくれました。
多くの人にとって、いろいろな気づきを得られる内容になっていると思います。当事者の方にとっては心の傷を回復させる、支援者にとっては理解の深まる、書物になっていると思います。
文春オンライン・東洋経済オンライン・プレジデントオンラインの各種媒体で、拙著『ルポ 虐待サバイバー』の切り抜き記事が紹介されています。ご興味ある方は、ご一読ください。以下に各種媒体のリンクを貼っています。
著者 植原亮太
●文春オンライン
髪の毛を鷲摑みにされ、引きずられ、奥の和室へと連れて行かれ… 児童相談所の職員が遭遇した“虐待”のリアル
「そんな年齢ですっけ? 面倒になりますね」娘の生理を無視する母親…“無関心という虐待”で少女が負った“心の傷”とは
●東洋経済オンライン
【前編】「母の愛情不足」で45歳彼が陥った苦悩
【後編】「母の愛情不足」に悩んだ45歳彼が見た光
【前編】優しさを拒絶する7歳の彼女が抱える傷
【後編】優しさを拒絶する7歳彼女の心のケア
●プレジデントオンライン
どう生きればいいのか、わからない…18歳から生活保護を受ける27歳男性に「やる気」が見られないワケ
頭を引きずられ、ホチキスを打ち込まれる…パニック障害で苦しむ女性が5歳時に受けた「壮絶な虐待」
お母さんの気を引きたくて…わざと車に轢かれ、血を流す娘に「無関心」な母親が放った"衝撃の一言"
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